高校改革で新設される学校・学科
高校への進学率が97%を越え、ほとんど義務教育並みの進学率が達成された昨今、子供たちの進む進路というのは多種多様なものになっています。豊かになれば、当然今度はあらゆる面で多様性が志向されるのは当然ですが、では高校教育における多様性とはいかなるものか? 以下、文部科学省、すなわち国が考える高校改革の主に制度面についてみてみましょう。
保護者の側からいえば、高校には端的に「子供の学力向上」を望んでいるだけなのではないかと思いますが、国は子供たちにいろいろな選択肢を高校が与えるべきだと考えているようです。
子供たちの能力、適性、興味、関心が高校進学に際して活かせる制度として文部科学省が考えているのは、すでに見てきた高校入試制度を除けば、主に
「総合学科の新設」
「単位制高等学校の新設」
「中高一貫教育制度の推進」
などが挙げられます。
1つ1つ順番にみていきましょう。
「総合学科」とは、高校のいわゆる学科である「普通科」、「専門学科」に並ぶものとして、平成6年度から導入された新しい学科です。すでに平成19年度には全国322校、平成20年度4月現在で334校で設置されました。
総合学科で行われる教育の特色は、
◆幅広い選択科目の中から生徒が自分で科目を選択し学ぶことが可能であり、生徒の個性を生かした主体的な学習を重視すること
◆将来の職業選択を視野に入れた自己の進路への自覚を深めさせる学習を重視すること
子供が主体的に自らの進路を考え、勉強する科目も子供自身が選択していく総合学科。大学進学率が高くなり、一部の専門学科の人気がなくなりつつある今、それに代わる学科が総合学科といえます。今後は総合学科の中でも、大学進学を主とする総合学科と専門性を深めていく総合学科の大きく2つに特色がわかれていくと予想されます。
「単位制高校」とは、学年による教育課程の区分を設けず、決められた単位を修得すれば卒業が認められる高校です。単位制高校というと、古い年代の方は、「定時制」もしくは「通信制」の高校課程を思い浮かべる人も多いと思います。実はこの単位制高校は昭和63年に定時制と通信制の高校に導入された制度で、平成5年度から全日制課程においても設置が行われるようになりました。ある意味では大学と同じような制度と考えるとわかりやすいでしょう。
単位制高校は、すでに平成19年度の807校あり、平成20年4月現在ではさらに50校増えて857校となっており、総合学科をはるかに上回る設置数となっています。
単位制高校の特色は、
◆自分の学習計画に基づいて、自分の興味、関心等に応じた科目を選択し学習できること
◆学年の区分がなく、自分のペースで学習に取り組むことができること
などが挙げられます。
総合学科も単位制高校も、特色を見てもらうと、最初に書いた子供たちの能力、適性、興味、関心を活かし、高校進学後は子供たちの主体性に任せる方針が明確になっているといえます。
また、これらとは別に「公立の中高一貫教育」の設置も進んでいます。中高一貫教育は、平成11年4月から実施された制度で、平成19年度は280校の設置でしたが、平成20年4月現在では54校増えて、334校設置されています。
人気の中高一貫校は競争倍率が10倍を超えるなど競争の過熱が懸念されていますが、一方で閉校に追い込まれる中高一貫校もあり、地域・自治体の設置のコンセプトによってその盛衰が明確になってきています。
公立の中高一貫教育には、3つの実施形態があり、それぞれ自治体が形態を決定しています。
3つの実施形態とは、
1、中等教育学校
一つの学校において一体的に中高一貫教育を行うもの
2、併設型の中学校・高等学校
高等学校入学者選抜を行わずに、同一の設置者による中学校と高等学校を接続するもの
3、連携型の中学校・高等学校
既存の市町村立中学校と都道府県立高等学校が,教育課程の編成や教員・生徒間交流等の面で連携を深める形で中高一貫教育を実施するもの
1の中等教育学校の競走倍率が非常に高くなる傾向が見られ、地域のトップ校に併設された2の併設型の中学校・高等学校も地域によっては競争倍率が高くなる傾向があるようです。
3の連携型の中学校・高等学校については、その連携の成否が鍵で場合によっては形だけの連携校になっているところもあるようです。